卵子提供・代理出産が日本国内で容認される日への願い~FROMの会の講演を終えて~(IFC代表川田ゆかりからのメッセージ)
記録的な暑さが続いた日本の夏、そして立て続けに直撃した台風などで、日本の皆様は本当に大変な時期をお過ごしになられていらっしゃることと存じます。こちらサンフランシスコでは、すっかり秋模様となり、寒いぐらいの毎日ですが、IFCのHPをご高覧いただいている皆様にはいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか?
さて、去る7月25日に東京で行われた「FROMの会」にて、私は、こちら米国カリフォルニア州での日本人ご夫婦の非配偶者間体外受精プログラムについてご説明し、何とかこのような素晴らしいプログラムが日本でもいつか全面的に容認されるようにとの願いを込めて、講演を行って参りました。40度近い真夏日の日曜日の、当初の予定の参加者数をはるかに越えた熱気溢れる会場からのご報告を、早く皆様にお伝えしようと思いながら、夏場のお休みを利用して渡米された多数のご夫婦のお手伝いに集中しておりましたため、このようにご報告が遅れてしまいましたことを心よりお詫び申し上げます。
その日のFROMの会の講演者の中には、日本で代理出産や卵子提供プログラムを率先して行われ、メディアや世論の攻撃に耐えながらも患者様のために医療を行ってこられた諏訪マタニティークリニック院長の根津八紘先生、生殖医療の新しい選択肢についてただ一人第一線で積極的に取り組んでおられる弁護士の遠藤直哉先生、京都大学名誉教授でFROMの会の発起人のお一人でもある星野一正先生、代理出産プログラムを通して実際にお子さんを授かられた体験の生の声を伝えてくださったタレントの向井亜紀さん、ご自身も不妊治療を続けていることを公表し、患者様のための社会環境を整えるべく運動をされておいでの衆議院議員の野田聖子先生といった、素晴らしい演者の方々と並んでの講演でした。そのような中で、正直申しまして大変緊張いたしましたが、この会に参加されていらした関係者の諸先生方や患者団体の皆様から、大きな暖かい声援を頂戴し、本当に有難く存じております。(講演後の会場のロビーで、お声をかけてくださるためにずっと待っていてくださった患者団体の皆様、本当に有難うございました!)
私の講演においては、米国カリフォルニア州ではどのように安全にこのようなプログラムが行われているかということをご紹介した上で、医療技術が進んでいる日本でも、社会的、法的整備が患者様の立場にたって進められていくことができれば、きっと卵子提供プログラムや代理出産プログラムが、日本国内でもいつか自由に行われてよいはずだということをお話して参りました。
私どもが、日々多くの患者様からのお問い合わせを受けている中で、どんなに望んでいらしても、どうしても米国へ渡って治療をすることが不可能な方はたくさんいらっしゃいます。また、実際に治療に参加するしないは別として、このようなプログラムが社会的に受け入れられている、という事実があることで、そして人生の選択肢をもつという意味で、自由な恋愛や結婚を予め諦めずに、もっと強く生きていけるはずのターナー症候群や、ロキタンスキー症候群の患者様たちもいらっしゃると思います。
そんな方たちのためにも、是非日本で卵子提供プログラムや代理出産が生殖医療の選択肢として受け入れられていく日が一日も早く来てほしいと願っておりますことを、訴えてきたつもりでおります。
こうして訴えて参りました私の声は、私一人のものではございません。これまで米国カリフォルニア州での治療を余儀なくされ、私どものプログラムにご参加された数百名の患者様達、また、ご参加に至らずとも勇気をもってお問い合わせをくださった数え切れない多くの方々の声を、代表してお伝えしてきたつもりでおります。
私の講演内容の詳細は、年内にFROMの会のHP上で発表されるほか、FROMの会現会長・前産婦人科学会会長の飯塚理八先生が編集長を務めておられる「産婦人科の世界」という専門誌上においても掲載される予定でおります。
このような形で、患者様たちの声を伝えてくださるFROMの会と、飯塚先生はじめ理事会の諸先生方、並びにこの会の実質上の運営にご尽力されていらっしゃる広報部長の塩田美津子氏にこの場を借りて心より御礼申し上げます。
今後も一人でも多くの患者様の声が、日本の生殖医療の法整備についての検討の現場に届きますよう、今後も全力で励んで参りたく存じます。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
2004年10月1日 IFC代表 川田ゆかり