講演記録2010.05講演記録

『ターナー講演会』(東京)における講演を終えてIFC社長・川田ゆかりよりご報告

▲卵子提供プログラムについて説明をする講演中のIFC社長・川田ゆかり

桜も満開の2010年4月10日、東京・市ヶ谷において『第11回関東甲信越ターナー講演会』が開催されました。
ターナー女性とその家族を支援する大阪「ひまわりの会」の岸本佐智子相談役のお口添えと、講演会の座長を務められた、たなか成長クリニック院長・田中敏章先生のお蔭様をもちまして、私も僭越ながら、演者として招聘していただきました。

田中先生と共に横浜市立大学産婦人科教授・平原史樹先生が座長を務められた今回の講演会では、「ターナー女性の妊娠・出産関連の話題」がテーマとして取り上げられました。

ターナー症候群というのは、女性のみに発生する染色体異常であり、生殖医療の観点だけから申しますと、それが原因で、卵巣機能不全そして早発閉経となってしまうケースが95%以上であろうと考えられています。

そのため、もし挙児を望むならば、自己卵子での可能性は全くないわけではないが極めて低いとてされいるため、米国では、卵子提供プログラムが選択肢として視野に入ってきます。

日本ではまだ自由に受けられない卵子提供プログラムですから、日本でのチョイスとしては、夫婦二人の生活を選択する以外では、養子縁組を考慮することになります。

しかし、それ以前に、「卵子がない → 子どもが産めない → 結婚はあきらめた方がいいかもしれない → それだったら傷つかないように恋愛もあきらめた方がいいかもしれない」という哀しいスパイラルに陥ってしまうターナー女性が大変多いのです。

そのようなチャレンジがある中で、今、生殖医療がターナー女性に対してどのように役に立てるか等について現状を踏まえた内容を取り上げたこの講演会は大変画期的な試みでした。

▲満員の講演会場の様子

そのせいかターナー講演会の歴史上、最高の参加者という197名の方々が集まられました。

演台から会場を見渡すと、もちろん、医師や看護師の方々などの医療関係者の方も多数おられましたが、ターナー女性ご本人様達をはじめ、ターナー女性をお嬢さんに持つお父様やお母様の姿も多く目立ちました。

「生殖医療」という題材もあって、会場では、年齢に添ったお話を聴いてくださいというアナウンスがあり、まだその話題には早すぎると考えられる中学生ぐらいのターナー少女達にはゆったりと待っていられる控え室が用意されるなど、きめ細かなご配慮もありました。 

このテーマでの講演を行なったその日の演者は、
国立生育医療センターの斉藤英和先生、東京大学医学部産婦人科の久具宏司先生、前述のひまわりの会の岸本佐智子相談役、東京HARTクリニック臨床心理士の平山史朗先生、そして、私IFCの川田ゆかりでした。

大変有名なご立派な先生達、そしてターナー女性の生の声を伝えてくださり感動の講演をされたひまわりの会の岸本さんの後で、私が最後の演者として演台に立たせていただきましたことは、大変光栄なことでした。

米国における卵子提供プログラムやドナー卵子・代理出産がいかに「普通の一般選択肢」として安全に実施されているか、そして、それらのプログラムについては、優秀な医師や医療者がたくさんおられる日本でも是非自由に受けられるようになってほしいというメッセージをお伝えして参りました。

▲パネルディスカッションで質問に答える川田

特に、ターナー女性にとっては、卵子提供プログラムや代理出産プログラムの存在があることで、そんな新しい選択肢が存在する、というだけで、ふつうの恋愛や結婚を諦めて青春時代を過ごさなくてもよくなること、実際に卵子提供を受ける受けないに関わらず、そんな選択肢があるというだけで、選ぶ権利が存在する、というだけで、人生を歩む上で益々力が湧いてくるのだ、ということをお伝えしたつもりです。

講演の会後には、懇親会が催され、多くの方々がお声をかけてくださり、熱心なご質問もたくさん頂戴しました。直接ターナー女性やそのご家族とお話させていただいたり、ターナー女性を診てこられた先生達と歓談させていただいたことで、私も、一緒に参加させていただいたIFCサンフランシスコ本社プログラムマネジャーの大久保も、大変多くを学ぶことができました。

皆さんとお話が終わって、気が付くと、残っていたのは、ひまわりの会の岸本さんと、その岸本さんと共に2年後に大阪で開催されるターナーの世界大会の中心となられる藤田先生、そして私たちだけでした。
岸本さんがずっと夢だったとおっしゃるターナーの世界大会を日本で開く、という大きなお仕事が、現実となっているのは、本当にこれまでのご尽力の賜物と思っております。
開催決定、心よりお祝い申し上げ、私共も何らかの形でご協力させていただきたいと思っております。

そして、ここでももう一度私からのふたつのメッセージを:

『ターナー少女、ターナー女性、そしてそのご家族の皆様、どうぞ恋愛や結婚、そして赤ちゃん誕生の夢を決してあきらめないでください!』

『卵子提供プログラムという新しい選択肢が「存在する」だけで救われる人々が大勢います。実際にプログラムに参加する・しないに関わらず、選択肢そのものが「存在する」ということが、女性の「権利」を強くします。
日本でもその選択の権利をもつことができるように一日も早く卵子提供プログラムが日本国内で自由に受けられるよう願います。』

会場でお目にかかったすべてのターナー女性やそのご家族の方々の熱い思いが、ひとつひとつ形になっていくことを心より願っています。

講演にお招きいただきました田中先生、岸本さん、このような素晴らしい出会いを本当にどうも有難うございました!

IFC代表 川田ゆかり

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