IFC社長川田ゆかり『第78回日本生殖医学会倫理委員会』講演報告
2011年3月11日、と申し上げると、この日付は日本の皆様であればどなたでも何の日であったか思い起こされることでしょう。
そうです、あの余りにも悲惨な東日本大震災が起こったその当日のことです。
第78回 日本生殖医学会倫理委員会は、その日に東京都内で開催されておりました。
私、川田ゆかりは、その倫理委員会にお招きいただき、日本人患者様の、弊社IFC卵子提供プログラムへのご参加の統計や、現場からの情報などをお伝えする講演をさせていただく機会を頂戴しておりました。
その日は、日本産科婦人科学会理事長 吉村 泰典先生、日本生殖医学会倫理委員会理事長の石原理先生、自治医科大学産婦人科教授の柴原浩章先生、などそうそうたるメンバーがお集まりの中での発表であり、大変緊張いたしましたが、諸先生方、皆様大変熱心に耳を傾けてくださり、また活発なご質問もいただくなど、米国における治療の現場の様子について、詳細お伝えできたものと自負いたしております。
内容としては、弊社卵子提供プログラムご参加されているご夫婦の卵子提供プログラム開始前の日本での体外受精治療の頻度、適応症の内訳、ご職業や年齢層、といったデモグラフィーについての統計、更には、成功率と胚移植の個数の関係の統計といったものの他、出生する児に対する告知や、児のアイデンティティーに関わる考察など、広範囲に及ぶ題材にてお話させていただきました。
この現場のお話をお伝えすることにより、安全性の高い卵子提供プログラムについて、
一日も早く、日本国内でも、卵子提供プログラムが市民権を得て、自由に受けられる治療プログラムとなる日が近づくことを願う次第でございます。
そのようなお話をすべて終え、充実感に満ちて委員会を後にしようとしたとき、あの、大地震が起こったのです。
都内の交通機関が完全マヒ状態となったその午後、私及び同行しておりましたIFCサンフランシスコ本社のプログラム統括マネージャー・大久保真希子共に、大変幸運なことに交通手段に恵まれ、宿舎に無事に戻ることができました。
しかし、委員会ご出席の先生達のほとんどが、交通マヒの影響で、数時間かけて徒歩でご帰宅された方が多かったとのことです。
委員会が開催されたビルから避難する際の、日本の皆様の落ち着いた対応ぶり、秩序正しい動きに、改めて、日本人というのは素晴らしい、誇らしいと感じた次第です。
避難の際には、自治医大教授の柴原先生が、ご親切に私共を誘導してくださるなど、大変心強い思いでおりました。
その時点では通信もままならず、まさか東北地方で、あのような惨事になっていたとは まったく知らぬ状況でございました。
この度の大地震で被災された方々、またそのご家族・ご友人の皆様、今現在もご不自由で不安な生活を強いられているにも関わらず頑張っておられる皆々様に、改めて心よりお見舞いを申し上げたく存じます。
この地震のあと、こんなときだからこそ、新しい生命が重要であるから、自分も頑張りたい、子供が授かるようこれからも前向きに進みたい、とおっしゃるご夫婦から多数のお問合せをいただきました。
明日を支える新しいいのちのためにも、引き続き最善を尽くして参りたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
IFC代表 川田ゆかり