最新情報2002.09治療プログラム

ホルモン療法は安全か?

米国では、自然閉経、早発閉経に関わらず、閉経後はホルモン療法を行うケースが殆どとなっています。これは、エストラジオールおよびプロゲステロン剤を使用することによって「生理周期」を作り上げ、女性の健康状態を良いレベルに保つためのものです。

閉経によりホルモンのバランスが崩れると、いろいろな不快な症状があらわれます。場合によっては、日常生活に支障をきたすことも多くあります。また、「骨粗しょう症」といって、骨がもろくなってしまう状態にもなり得ます。なぜなら、女性ホルモンには骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きがあるのに、その女性ホルモンが減少してしまうわけですから、そのような状態を引き起こすことがあるのです。閉経後のホルモン療法が一般に浸透していない日本で、腰の曲がった年配の女性を多く見かけるのは、多分この理由によるものが大きいかもしれません。

ところが、この夏、ある新しい研究結果が発表され、このようなホルモン療法は、乳がん等、女性特有のがんを引き起こす可能性を高めるとの見解を出し、話題となりました。しかし、その後産婦人科学会などで検討されたところによりますと、確かに、1000人に2,3人程度の割合で「もしかすると乳がん等になる確率が高くなるかもしれない」というレベルの問題ではあるが、果たしてホルモン剤の直接的な原因でそうなるのかどうかははっきりと立証されていない、ということなのです。

従って、ホルモン療法を受けずに、日常の健康状態に大きな支障をきたすリスクの方が、がんの発症の可能性に比べあまりに比重が大きいため、ホルモン療法は一般的に言って女性の健康のために良いものである、というのが現在の一致した見解のようです。つまり、女性ホルモンは、女性のクォリティー・オブ・ライフには必要なもの、ということなのですね。

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