最新情報2006.08着床前診断

アメリカにおける着床前診断による男女産み分け

最近、男女産み分けについて、私共IFCへのお問合せが急増しておりますので、ここでひとつの記事としてまとめさせていただくことにしました。

着床前遺伝子診断(PGD/PGS)は、日本では一部のケースについて認めらてはいるものの事前審査を必要とされている『特別な治療』となっていますが、米国では一般の患者様が、担当医の判断により適応とされた場合受けることができる治療となっております。

弊社が提携しておりますPacific Fertility Center (パシフィック生殖医療セン ター)にて2005年の終わりまでに終了した着床前遺伝子診断のケース数は113件。日本人のご夫婦も、弊社IFCを通してこの治療を受けられております。

着床前遺伝子診断を受ける目的としては、習慣性流産の要因となっている遺伝病があるケースが主なものとなっています。

排卵誘発剤を使用した後、女性パートナー(妻)から採取された卵子と、男性パートナー(夫)から採取した精子を体外受精して得られた受精卵に着床前遺伝子診断を施すこととなりますが、この診断においては、X染色体とY染色体も調べますから、その受精卵の性別を判断することが可能となります。そのため、どちらか一方の性別の受精卵だけを選んで子宮に移植すると、妊娠が成立した場合は、その性別の子供が誕生する、ということになります。

米国、少なくともカリフォルニア州では、『ファミリーバランシング(Family Balancing)』の目的での男女産み分けも容認されています。これは、健康な第一子をすでに授かっている場合、第二子以降の妊娠を試みる際に限り、着床前遺伝子診断の後、夫婦が希望する性別の受精卵のみを移植することが可能となっております。

ただ、ここで明記しておきたいのは、『受精卵を移植したから必ず妊娠するということにはならない』という事実です。最終的に得られた受精卵の中で状態の良いものが必ずしも希望する性別の受精卵ではないかもしれない、或いは得られた受精卵の中に希望する性別の受精卵が全く無い、ということも充分考えられます。更に、それ以前の問題として、女性の卵巣機能の状態が万全ではない場合、着床前遺伝子診断を行える状態になるほどの数の卵子がそもそも採取できない場合もあります。

男女産み分けの手段として着床前遺伝子診断がメディアで取り沙汰される際にこのような詳細が発表されないことも多々あります。この手段が一般的に考えられているような簡単なことではないことは明らかな事実です。

特に、満35歳以上の女性の場合、個人差もありますが、卵巣機能の低下が始まる場合が多くなっています。多くの卵子を得る可能性が大変低いという判断のもと、そもそも着床前遺伝子診断を行える段階まで至らないことも有り得る、ということになります。

着床前遺伝子診断による男女産み分けは、上記の通りどなたにでも適応となる手段ではありません。また、健康な卵巣を持った女性のケースでも、移植できる良い受精卵の数が単純計算しても一般の同等のケースに比べて半分になってしまうため、成功率も一般より低くなります。そのため、男女産み分けを成功させるためには、その女性の年齢にもよりますが、健康な卵巣を持った女性でも、少なくとも三回以上は体外受精を行う覚悟がなければならない治療でもあります。

このような状況を御理解いただいた上でも『男女産み分け』についてご関心のおありになる方は、どうぞIFCまでお問合せください。

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