最新情報2009.03提携クリニック

パシフィック生殖医療センター(PFC):「受精卵取り違え」が起こり得ない、独自の確かなセキュアシステムで安心不妊治療

2009年2月に日本で大きく報道された、香川県での『受精卵取り違え』のニュースは、日本で不妊治療を受けていらっしゃるご夫婦だけではなく、日本全国の人々を不安にさせたニュースでした。

ラボラトリーの中、つまり、ご夫婦からは直接目に見えない場所で扱われる卵子、精子、受精卵。実際に香川県で起こったような「受精卵取り違え」事件が起きてしまうと、ただでさえ心労の多い不妊治療を続けるご夫婦にとって、治療の成果にも悪影響が出てしまうような心配ごとになりかねません。

受精卵を培養していた容器の取り違えなどはあってはならないことです。しかし、人間の行なうことですから、ひとりひとりのスタッフの責任にただ任せておくのでは、全く充分とは言えません。では、どんなシステムがあれば、『受精卵取り違え』のような重大な問題が起こり得ないラボラトリー環境を作ることができるのでしょうか?

パシフィック生殖医療センター(PFC)の『安心確実』ラボラトリー

▲PFC体外受精ラボラトリー内部:ゆったりとした、完璧に清潔なスペースの中に整然と並ぶワークステーション

そんな『間違いが起こり得ないシステム』を設定し、『安心確実』なラボラトリーを運営しているのが、IFC提携のこのパシフィック生殖医療センター(PFC)のラボラトリーです。

PFCのラボラトリーでは、『間違いが起ころうとしても起こることができない』システムを、長年蓄積した実績と豊富な経験をベースに作り上げ、今ではそのシステムが全米のラボラトリーのお手本となっており、世界各地からPFCのラボラトリーを視察に訪れる体外受精専門医やエンブリオロジスト(胚培養士)は後を絶ちません。(過去数ヶ月の間だけでも、イギリス、ドイツ、日本、中国、韓国、インド等の国々からの専門医やエンブリオロジストがご視察に見えております。)

そんな『間違いが起ころうとしても起こることができない』PFCの『安心確実』ラボラトリーの秘密をお話します:

【1】全員が学会認定、専門ライセンス取得済のエンブリオロジスト・チーム

カリフォルニア州では、現在、体外受精ラボラトリーに勤務する胚培養士にライセンスの取得を義務付けていません。しかし、PFCでは、最高水準の技術と姿勢をもった胚培養士でなければ、完璧な管理システムのもとで間違いのない仕事に携わることができないと考えており、全員一人残らずライセンスを取得したスタッフの雇用に限っています。そのため、全米でも類稀な優秀且つ実績のある胚培養士チームで成り立っているのがこのPFCラボラトリーなのです。

【2】充分な設備投資:一つの培養器に同日採卵ケースは一件分のみ

▲PFC体外受精ラボラトリー内部:ずらりと並んだ培養器(一部

PFCのラボラトリーでは、一つの培養器には、同じ日付の採卵となった患者様の受精卵は、絶対に同時に入れません。つまり、同じ培養器に入っている受精卵は、「必ず」別な日に採取された卵子による受精卵であり、同じ日の採卵による取り違えをその点で防いでいることになります。このような方式にすると、当然、培養器の数も多く準備しなくてはなりませんし、培養器を設置するスペースも広く必要になります。しかし、「生命」の根源となる受精卵の取り違えを「絶対に起こさないように」するためには、医療施設によるこのような設備投資は絶対的に必要なのです。

更には、PFCの培養器には、二重ドアがついていますが、実際に受精卵が入っているペトリ皿だけではなく、そのペトリ皿が入っている培養器そのものの内ドアと外ドアの両方にも、患者様の名前が記述されています。ですから、必要なペトリ皿を取り出す前に、胚培養士は、外ドアと内ドアにて、二度、すでに名前を確認し、更にペトリ皿で名前を確認する、という「三重チェック」が行なわれているのです。

香川県での受精卵取り違え事件を受けて、日本のIVF専門医が、「不妊治療を行なう医療施設では、体外受精を行なうからには、それなりの設備投資をきちんと行なわなくては安全性が保たれない」とコメントしておられましたが、本当にその通りです。PFCでは、「設備投資を行なうべきところ」にこうしてきちんと対応していることになります。

【3】「余分人員は必要人員」主義のチェック体制

PFCのラボラトリーでは、実際に卵子、精子、受精卵を直接取り扱う際、どんなに忙しくても、「たった一人の」胚培養士のみが取り扱うことを厳禁しています。「一人」で行なうと、どんなに優秀な人材でも、急いでいたり、勘違いしていたり、ということも有り得るからです。PFCでは、いかなるどんな場合でも、「二人」の胚培養士が立ち会い、二重にチェックしてからでなければ、卵子、精子、受精卵を解凍のために取り出したり、実際の体外受精処置や胚移植を行なうことができない決まりになっています。つまり、「余分人員は必要人員」主義がこのラボラトリーでは取られているのです。

一言で言えば「二重のチェック」となってしまいますが、このチェックひとつとっても、「はい、この患者様のお名前でした」、という単純チェックではありません。お名前はもちろんですが、カラーコードされたラベルや付随の書類、その他多くの項目をチェックして受精卵等の「身元」を確かめてから初めて、作業が始まるのです。

精子については、精子の採取が行なわれるのは一部のケースを除いては手術室ではなく、クリニックの採精室となりますので、採取された精子をまずハンドリングするのはラボラトリーのスタッフではなく、看護師、となります。もちろん、精子が採取されたカップには、ご本人様(ご主人様)のお名前と、その方の奥様のお名前と奥様の生年月日なども記載されたラベルが貼ってあります。しかし、それだけに頼らず、カップを受け取った看護師は、ただ受け取ってラボラトリーへ運ぶのではなく、自分も責任をもって記帳し、手に渡るスタッフ一人一人がその後も記帳していきます。ですから、何月何日の何時に精子なら精子がクリニック内のどこに存在したか、というのが手に取るようにわかる仕組みになっています。

【4】本人確認は、絶対にラベルだけに頼らない

採卵時の麻酔を準備する前の一番先の段階で、あるいは胚移植室に入った患者様の準備の初めのステップとして、まず何が行なわれるかというと、「患者様の本人確認」です。しかし、その場合、最終的な確認として、看護師やスタッフが患者様の名前を呼ぶことで、はい、と患者様が答える、というのは絶対に行なわれていません。日本で行なわれたアンケートの中でも、日本の施設の中で看護師さんが「ヒヤリ」とした瞬間として、胚移植室などに、呼んだつもりの患者様ではない方が入っていた、などということがあった、というケースがずいぶん報告されていたようです。

これは、似たような名前があったり、似た名前ではなくても、緊張していたり、遠くから呼ばれたりなどすると、自分であると勘違いしたり、などなど、いろいろな状況で、呼んだつもりの患者様と、呼ばれたつもりの患者様が異なっている、ということが有り得るからです。

PFCでは、そのような重大なミスを絶対的に犯さないよう、施術準備が始まる際の本人確認は、必ず、「患者様本人に名前と生年月日を自分で話してもらい、手元のカルテと照らし合わせる」という方式を取っています。このようにすると間違いようがないのです。

【5】厳密な色コードやラベルによる分類

もちろん、すべての容器のラベルについては、ラベルの色コードなどで、一目で分類がわかるように計画されている他、ありとあらゆる医療現場用の分類テクニックが使われており、視覚的にもすぐ捉えられるような分類がされています。細かな情報を整然とまとめて分かるようにしておくのです。

特に、凍結された精子や受精卵を解凍するときなど、間違って他の患者様のものを解凍などしたら、それこそ前と同じ状態で元に戻すことはできません。ですから、凍結保存の際は、何年も保存される場合も想定して、記憶になどまったく頼らなくてもすべての情報とすべての記録が明確に得られるようなシステムとなっています。

【6】毎週一回の全体ミーティングで間違いを未然に防ぐ

PFCでは、どんなに患者様の数が多くとも、必ず一週間に一回、ラボラトリーのスタッフと看護師スタッフ、そしてもちろん医師チームが「ラボラトリーミーティング」という会議を行なっており、その際に、すべての注意事項を、クリニックのどのスタッフにもわかるようにするため、次週に行なわれるケースについて一件一件すべて丁寧に話し合い、チェックしていきます。

このような会議の際、もちろん、医療上のディスカッションは行なわれますが、その他に例えば「来週同じスケジュールで、似たような名前の患者様が予約している」というようなときは、予め、お名前の種分けやラベルを更に細分化し準備する指示を出し、同姓、あるいは類似したスペリング(ローマ字表記した綴り)のお名前の場合、例え同じ日の採卵にならなくても近い日程での採卵となることが考えられる場合、予め必ず別な培養器に入れるよう指定しておく、などの計画を前もって明確にしておくのです。

当たり前のことのようですが、このように「念には念を入れる」ということを、高度生殖補助医療の最先端の現場で実践するということは、PFCで行なわれているようなことを意味するのです。


上記でご紹介したことは、PFCが行なっている管理体制のごく一部です。これでPFCでは『間違いが起ころうとしても起こることができない』医療現場であること、おわかりいただけたでしょうか?

PFCの医療現場についてご質問やご確認事項がございましたら、IFCまでお気軽にどうぞ:

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